僕には戻りたい時と場所がある。
就職して半年、嫁さんと同棲したのが世田谷区の千歳烏山。
会社の寮を引き払って、レンタカー1台で引っ越し。
甲州街道から一本路地に入った昔のアメリカのモーテルを
彷彿とさせる平屋建てのアパート。
1984年9月。
テーブルがなく引っ越しの段ボールをひっくり返して使った。
モノはなく、あるのは喜びと希望だけだった。
見知らぬ街で過ごした数か月。
何も持っていなかったけど、まぶしい時間。
戻りたい。
何もない身軽な時代に。
持ってしまった重たいものは手放していきたい。
娘たちと保護猫の命の重さだけは手放せないけど。
もうひとつの時と場所。
大学2年の夏。
ロサンゼルスに遊びに行った。
帰って来た。
イケてない2人。
富雄の駅にナンパに出かける。
1981年8月。
心が身軽。何も背負っているものがなかった。
可能性と自由。
もしかしたらこの地には戻りつつあるのかも。
一番重たかった「組織」というものを手放したから。
しがらみ、枠、足枷、意味のない作業。
どんどん自分が目指す過去輝いていた懐かしの地に
近づけていきたい。