昭和40年代。
わたしは大阪の八尾に住んでいました。
生まれ育った家は長屋。
玄関あけたらすぐに台所があって、そしてちゃぶ台のある居間。
4畳半一間。そしてその奥にも同じような部屋が一間。
家の中にモノなんて何にもなかった。
テレビが家に来たのは6歳か7歳の頃だった。
近所に最初にテレビを買った友達の家があって、みんなその家に行って見てた。
家の前にはドブ川があって、ちょうど身体がすっぽり入るくらいの川幅だった。
一度、下半身ずっぽり落ちたことがあって、その匂いはいまでも忘れない。
ずっとこびりついて鼻から離れない。
それからたった10年ほどで、モノはあふれかえり、娯楽は多様化して、楽しい青春時代を送れました。
たった10年ほどで世界が変わったような気がします。
改めて思い返してみると、あんな時代があったんだ。
いま、コロナで大変な状況ですが、あの時のことを振り返ると、なぜか不安がふっとぶ。
どうせわたしは何も持っていなかったんだ。
この健康な心と身体さえあれば、幸せはまたいくらでも創り出せるって思える。