仕事を志事に。
働くことで幸せが実感できる社会の実現を願う、キャリアコンサルタントの中野敦志です。
毎月一回、『企業人事担当者の会』というのを開催しています。
企業7社人事系部門の担当者で毎月各社課題を持ち寄り「考え、対話する」場です。
昨日のテーマは「企業における従業員の越境的学習」でした。
私の方から、先日大阪で行われました、HRカンファレンスでパネルトークに登壇されてたカゴメCHO・有沢氏の内容をシェアさせて頂きました。
制度は用意するがそれを使うかどうかは従業員に任せている。
例えば、副業解禁、月20日のテレワーク、コアタイムなしのフレックスなどの制度のことである。
つまり、
会社は従業員を「大人扱いしている」。
という事を何度も言われてました。
私は長年、前職で大人扱いされる子供でした(笑)
任務は大きな目的のみ。
大きなお金の裁量以外は全て自分任せ。
細かい事など殆ど口出しされずにやってきました。
これ程本人の仕事に対するやる気、楽しみ、面白さを引き出すものはありません。
30歳手前から40歳半ばの10数年間にわたり何のストレスも押さえつけられ感もなく過ごしました。
最長150時間の残業も、全くストレスはありませんでした。
無我夢中に資料作ったり、システムのデザインしてました。
まさしく、フロー状態。
これぞ最高の人材開発・育成だと思います。
元々チームで何かをするという事が大の苦手でしたが、この放任期間で自分らしいチームプレイを学んだ気がします。
今で言う、横並びのティール組織の思考だったと思います。
管理的な感じを持ち出すとうまくいかない。
昨日の対話の中で、皆さん自分事化して、それぞれ同じ事を考えてらっしゃったようです。
しかし、一部懸念の声もあり、その考え方(=裁量を与えるという事)にはリスクもある。と。
これをリスクと捉えるか、投資と捉えるかは各自の考え方次第です。
「人材開発・育成と言う言葉には会社側がすると言うニュアンスが感じ取れる。
そんな発言もありました。
従業員が「育成してもらえる。」という意識。
個人の能力差を無視した一括研修。
経理担当者に対する財務研修、MBA保持者に対するロジカルシンキング研修。
一方的な感じしかしません。
自分の能力を伸ばしてくれそうな会社。という志望動機。
自分の能力を伸ばすのは自分以外に居ません。
最近、『研修転移』と言う言葉をよく耳にします。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakaharajun/20170730-00073917/
研修で学んだ事を実際の現場で活用すること。
実はこれが出来ていない現実。
会社側の一括研修が何の効果も生まない事は実感しています。
自己啓発。
あまり好きな言葉ではないですが、自分でしか自分の能力は伸ばせない。
昨日大学生の就活面談でうまくいかないと言う子が相談に来ました。
自分の強みに関するエピソードを聞きました。
ゼミの学部発表会に向けて、プレゼン資料を作るのがうまく進まない。
ご自身がリーダーだったそうです。
そして、彼女がした事は、甘く見ているメンバーに資料作りのためのヒアリングを体験させる事だったそうです。
実際に英語を使い留学生にヒアリングする。という事だったらしいのですが、メンバーに任せて見守っていました。
案の定、全然話にならなかったそうです。
メンバー達はその後、これではダメだと認識し主体的に動き出しました。
何でそんな事しようと思い立ったの?と聞いたら
自分が小学生の時に、英語塾の課題で直接外国人の方に電話するという事をやらされたそうです。
頭ではわかっていてても実際に外国の方に英語を話そうとすると全然言葉が出てこないという経験をされました。
経験学習の必要性を認識している。って事ですよね?
彼女がリーダーとして取った行動が素晴らしいなぁと伝えました。
彼女は恥ずかしげに、少し嬉しそうに、えっ!そんなん強みなんですか〜?って笑ってました。
自分の強みは、私と言う価値観の違う人と話をする事によって気づきます。
これが越境的学習の最大の効果だと思っています。
自分の強みを知り伸ばす。自分の弱みを知り補強する。
全て自分がする事。
企業は人材開発支援・育成支援業務を行うだけです。