仕事を志事に。
働くことで幸せが実感できる社会の実現を願う、キャリアコンサルタントの中野敦志です。
私自身、あまり小説とか読まないのですが、五木寛之の作品だけは若いころからよく読んでいます。
今から10年ほど前の作品になりますが、『息の発見』という著書があります。
これは小説ではなく、玄侑宗久という禅僧の方と『息』について語り合うという対談形式の本です。
当たり前ですが、人間は『息』をしないと生きていけません。
しかし日頃、『息』というものにはあまり意識を向けません。
無意識のうちに我々は『息』をします。
生死を司る行為なのに基本ほったらかしなんです。
『息』という言葉はよく使われます。
例えば、人が亡くなった時のことを
『息を引き取る』
と言います。
あるいは緊迫した場面などは
『息を飲む』や『息詰まる場面』『息を殺す』
なんて言い方もします。
また、『一息に生きる』という禅の言葉があります。
人生において一つの呼吸の瞬間だけが真実である。
つまり全力で今を生きることの大切さを表しています。
この本と出会ったのは50になった頃でした。
身体に様々な不具合を感じる年ごろになって、より健康への思いが強くなっていた時だったと思います。
私は元来、対症療法的な西洋医学があまり好きではありません。
東洋的な予防医学の考え方がすごく自分には合っています。
呼吸に対する考え方を知りたいと思いこの本を手にしました。
そして『息』に意識を向け、自分に合った呼吸をすることによって健康な自分を感じられるようになりました。
焦っている時や追い込まれている時、悲しい時なんかは、呼吸は浅く早くなります。
そんな時にあえてゆっくりと吐き出すように呼吸をコントロールします。
そうすると気持ちも落ち着きます。
朝目覚めた時に頭痛の症状がある場合なども、起き上がる前に、深くゆっくりとした呼吸を布団の中で5分ほど実行しますと不思議なことに頭痛が消えます。
『息』を整えることは心を整えることにも通じるのではないかと思っています。
長い連休が明けて今日から仕事再開の方も多いと思います。
仕事の合間、時おり呼吸に意識を向けて一息入れてみましょう。